3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョ―についてその9(ジョ―をとりまく男たち 力石徹②)

 今回は、力石とジョーのボクシングでの初対決の話です。
前回ジョーと力石の初めての戦いの話を書かせていただきました。
力石に叩きのめされ、力の差を実感したジョーは、段平に助けを求めます。
そのジョーからの助けを求める葉書に応じた段平が、ジョーにボクシングを教えるために少年院に来ます。

この時、白木葉子の主催する慰問劇に段平が出たことが、きっかけとなりジョーと力石は、再び戦うことになります。
その戦いは、葉子によって仲裁されたためその決着としてボクシングでの試合が提案され、その試合で二人は、決着をつけることになります。

この時力石は、少年院の仲間に対してジョーの予告KOを宣言します。試合開始から1分でジョーをKO すると断言します。
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力石は、この宣言を大言壮語でも何でもなく、本当に出来ると確信して発言しています。

ここに力石のカリスマ性の片鱗が見えます。単にジョーを倒すだけでなく、予告時間内に倒す宣言をする。予告することによりさらに二人の対決に観衆が興味を持つようにしむけ、その上で時間内にジョーを倒す。
それにより、観衆はジョーと力石の実力差を実感します。
また同時に有言実行の力石をより崇拝することになります。
そういう意味を瞬時に考え発言出来る力石はやはり人を魅了するカリスマ性を持っています。
予告をするとしないでは、ジョーを倒した時の自分への評価が格段に違うことをよく理解している訳です。

一方ジョーは、自分と力石との実力差を理解しています。そのため段平に力石戦での秘策を求めクロスカウンターを授けられます。
クロスカウンターとはボクシングの高等技術の一つです。相手がパンチを打ってきた腕に自分の腕を交差させカウンターを打つ技です。
クロスカウンターは、相手がハードパンチャーであるほどその威力が倍増するため、強打を誇る力石には有効な手立てとなる訳です。

クロスカウンターの練習台として。ジョーは少年院の受刑者を次々とその餌食にします。
その練習台として、倒れた受刑者の様子から力石はジョーの秘策がクロスカウンターであることを見抜きます。
その洞察力の鋭さもまた力石の長所の一つです。

実際に試合が始まり、ジョーを力石から何とか1分間逃げ切り予告を覆しました。
力石は、葉子の前で恥をかかされたことになります。常人であれば、頭に血が上り暴走してもおかしくありません。
しかし、力石は一瞬は動揺するものの、すぐに気持ちを切り替え冷静に対処します。
このように自己コントロールに優れたところも、力石の長所です。

気持ちを切り替えた力石は、焦らずじっくりとジョーをなぶり殺しにかかります。
ジョーは、何度も力石に倒されリングは血だらけになります。
その凄惨さから、葉子が試合場から逃げだそうとしたくらいです。

力石が止めに放ったパンチに、ジョーのクロスカウンターが炸裂し二人は相打ちになります。
ボクシングでの初対決は、結果的に引き分けになったわけです。

このことを力石はどうとらえたのでしょう。
二人の実力差から、ジョーにはダウン無制限のハンディが与えられました。
しかし、元ボクサーの力石がほぼ素人のジョーと引き分けたのは事実です。
普通であれば屈辱に怒り心頭になってもおかしくありません。

ところが、力石はこの結果を極めて冷静に受け止めます。
このような結果に終わったのはジョーに対しての私情が入ったためであると。
つまり憧れの葉子を侮辱され、ジョーへの憎悪が試合に入って喧嘩のような気持ちで試合に臨んだため、このような結果に終わったと反省します。
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この自己分析力の高さには驚かされます。
ただその一方で、この試合の後から力石のジョーに対する気持ちも変化してきたのではないかと思います。

単に葉子を侮辱した憎いやつではなく、一筋縄ではいかない手強い相手としてジョーのことを意識しだしたのは、間違いなくこの試合が分岐点であると思います。
この試合以降二人は、ますますライバルとして戦いあることになります。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。