3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョ―についてその8(ジョ―をとりまく男たち 力石徹①)

 ジョ―にとって力石は、最大のライバルであり最も心が通じ会えた相手と言っていいと思います。
力石は、ウルフと違い非常に洞察力に富み、器の大きさが感じられる人物です。
連載中に力石は、ジョ―を上回る人気を得ていました。これは上記の力石の魅力を読者も感じ取っていたからだと思います。
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原作者の梶原一騎も力石がお気に入りで、ずっと作品中に登場させたい意向があったと聞いています。
その考えは、残念ながら実現しなかったのは周知の通りです。
その辺りのことは、後述します。

ジョ―と力石の初めての出会いは、少年院です。
西と共にジョ―が少年院に送られたときには、力石は既に少年院のボス的存在として、周りの連中に一目置かれていました。

力石が初めて作中に登場した時、その体格はジョ―よりふたまわりほど大きく描かれてていました。
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これは作画のちばてつやが、原作者の梶原一騎の意図を理解出来ていなかったために大きく描いてしまったのです。

恐らく梶原一騎の原作には力石を大きく描く指示があったと思われます。
それは、力石の存在を大きく描くようにという意図だったと思われます。
しかしちばてつやが、その言葉をそのまま受けとり、文字通り力石の体格を大きく描いてしまったために二人の間に食い違いが、生じたと思われます。
このことが、作品に劇的な展開をもたらすことになります。

力石とジョ―が一番最初に闘うのは、ジョ―の脱走未遂事件の時です。
これはジョ―が豚小屋での豚の世話をいいつけられた時に、それを利用し豚を刺激し暴れさせそのまま暴走した豚の背に乗って、脱走を企てた何とも破天荒な事件です。
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この時力石が現れ、強烈なパンチで豚を大人しくさせ、ジョ―の企みを未然に防ぎます。
このことに怒ったジョ―が力石に戦いを挑んだのが二人の初対決です。
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この時の二人の間には、歴然とした実力差があります。
何しろ力石はプロの6回戦まて戦い、将来を期待されていた実力を持つボクサ―です。
それに対して、この段階でのジョ―はほぼ素人です。
段平の葉書による通信教育で、唯一ジャブをマスターしていただけです。

普通に考えて二人は勝負になりません。
ところが、唯一教えてもらったジャブが力石に通用します。
力石の顔面を的確にとらえ、力石は鼻血を流します。
ここにジョ―の非凡さがあります。ただ葉書で教えられただけのジャブで、プロボクサ―の力石を血だるまにする。並大抵の才能ではありません。
しかしジャブで調子づいたジョ―が、とどめと放ったストレ―トは軽く力石にかわされ、それでも再度力石に向かって行ったジョ―は、力石の強烈なパンチ1発で叩きのめされます。 

この時倒れたジョ―に向かって力石は、こう言っています。
「わからねえ。最初のジャブだけがプロ並みの本格で・・・後のパンチは丸っきりの子供だおしだとはな・・・わからねえよ。」
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力石の表情を見る限り、これは力石の本音だと思われます。
ここに力石の洞察力の片鱗が見えます。単に叩きのめした相手を見下すのではなく、ジャブの凄さを素直に認める。
その上で他のパンチとの落差に驚き、その理由を考える。
万事力石は、この時のようにその物事の裏側にある理由を考えようとします。
それが、力石のキャラクタ―としての深みを与え魅力になっていると思います。

こうして力石とジョ―のライバル関係は、始まりました。
これから先二人の関係は、より深まっていきます。
それは、次回以降に書かせていただきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。