3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョーについてその7(ジョーをとりまく男達 ウルフ金串)

ウルフ金串は、ジョーがプロで戦った最初の強敵といえる男です。
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ジョーとの因縁は、ジョーがウルフの控え室でウルフに言いがかりをつけるところから始まっています。二人は素手での殴り合いになり、ジョーのクロスカウンターで相討ちになります。

これは当時ボクシング界から閉めだされていた丹下ジムをボクシング界に復帰させるために、ジョーがとった手段です。
丹下ジムを閉め出していた中心となっていたアジア拳の所属選手のウルフに喧嘩を売ることにより、強引に丹下ジムのライセンス復帰を認めさせた訳です。
何しろプロデビューもしていないジョーとアジア拳の金の卵と呼ばれていたウルフが引き分けたという事実は放置できないので、プロのリングで決着をつけるしかない訳です。
見事ジョーの思惑通り、丹下ジムのライセンスは復活し、二人はプロで戦うことになります。

ウルフという男は小心者であり、思慮も浅いです。
試合前にトイレに何回も行ったりするところや、ジョーのクロスカウンターに怯える描写からウルフの小心な性格が伺います。

小心な半面、人に対して優位に立つと途端に傲慢になるところもあります。
アジア拳の大高会長からクロス破りの秘策を授けられると、今までの怯えた態度から一転して勝利を確信し傲慢になります。

自ら左ストレートを打つと公言したり、ウルフの秘策を探りに来たドヤ街の子供達をリングに上げて制裁したりします。
その結果段平に秘策のダブルクロスを見抜かれ、ジョーにトリプルクロスカウンターで敗北します。
トリプルクロスによりジョーにアゴを砕かれ、ウルフは再起不能となります。
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その後のウルフについては、ジョーその1で書いた通りヤクザの用心棒に身を持ち崩し、ゴロマキ権藤に叩きのめされたところをジョーに助けられます。
このことをウルフは、どう思ったのでしょう。

権藤に叩きのめされる直前にウルフはジョーのことを「矢吹という石っコロにさえつまづかなければ。」と言っています。
この言葉が明らかに示すように、この時はウルフはジョーに対して怨みの感情を持っています。
それがジョーに助けられて、どのように変化したのか、原作ではその描写はありません。

その後ウルフはジョーとホセとの世界戦まで作品には出てきません。
その時の状況からその後のウルフの心中を察すると、まず少なくともジョーに対しての怨みの感情は消化されていると思います。
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わざわざ自分のお金と時間を使って試合を観に来ているのは、ジョーを応援する気持ちがあったからでしょう。ジョーがやられるのを期待して観に来たわけではないと思います。

序盤にジョーが苦戦している時にウルフが呟いた言葉にそれが表れています。
「じれったいなぁ、あんなんじゃ俺が相手しても負けやしないぜ。」
こうウルフが呟いた言葉にウルフの心中が見えてきます。
自分を倒したジョーに世界を取って欲しい。それを見届けにきたのにジョーの不甲斐なさに苛立ちを覚え、また奮起を願うウルフの気持ちが読み取れます。

ここに至るまでのウルフの気持ちの変化には、やはりあの権藤事件が影響していると思います。
あの事件の後、おそらくウルフは病院で自分を助けてくれたジョーの話を聞いたことでしょう。
そして、その時にジョーが権藤に見せた尋常ならぬ怒りのことも。

そこに戦友としてのジョーの自分への深い思いにウルフも初めて気づき気持ちの変化があったのでしょう。
そしてウルフは世界戦の行われる国技館に足を運んだわけです。
そう戦友矢吹ジョーを応援するために。
最終ラウンド激闘が続く中ウルフがこう叫びます。
「矢吹カウンターはどうした。お前得意のカウンターを見せろ!」
この言葉に答えるかのように、ジョーはホセにクロスカウンター続けてトリプルクロスカウンターを炸裂させます。
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ウルフとジョーの因縁がこの瞬間、戦友という強い結びつきの絆へと昇華されたと思います。
ウルフも間違いなくジョーのライバルの一人だったと言えると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。