3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョーについてその1(矢吹丈という男)

ブログを見てくれている友人から、「あしたのジョー」について書いて欲しいとリクエストがありましたので、今回は「あしたのジョー」の話です。

「あしたのジョー」と言えば、今さら私が語るまでもない不朽の名作漫画です。私も今まで、読んだ漫画の中で今でも一番好きな漫画です。
原作者梶原一騎と作画ちばてつや、この二人の融合により、この奇跡の名作が生まれたと思います。
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梶原一騎の天才的な物語作りの才能に、ちばてつやの叙情的な部分が加わったことにより、物語に深みが加わりあの「あしたのジョー」が出来上がったのだと思います。例えばドヤ街の子供達や乾物屋の紀ちゃんは、梶原一騎の原作には存在しない登場人物です。彼らが登場することにより、作中でのジョーの魅力もより深まっています。

ただ製作の過程で二人の意見の相違による衝突、あるいは原作の意図の読み違いによるストーリー変更など、色々なことがあったと聞いています。
いずれにしても、この二人の巨匠がお互いに妥協することなくぶつかりあうことにより「あしたのジョー」は、素晴らしい作品になったのでしょう。

私が思う「あしたのジョー」の一番の魅力は、やはり主人公矢吹丈に尽きると思います。
世の中には、色々な人気漫画がありますが、その中には主人公よりも魅力がある登場人物が出ているものもあり、読者の人気も主人公以上に集めているものもあります。
私はやっぱり主人公が、一番魅力のある漫画であって欲しいと思います。
「あしたのジョー」では、矢吹丈が間違いなく一番魅力があり、まさしく主人公と言えると思います
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ジョーの一番の魅力は、かって戦った友に見せる深い愛情とも言える思いやりです。
ジョーには、作中の中で何人かの強敵が現れます
それらのライバル達に戦いが終わった後にジョーは、深い思い入れを持ちます。
親の愛情をを知らず、ずっと施設で育ったジョーにとって、お互いに命を削って戦いあった宿敵だけが、気持ちを分かりあえる存在だったのかもしれません。
そのライバルの一人にウルフ金串がいます。ウルフはアジア拳というジムのホープで、ジョーが丹下ジムのためにウルフの控え室で因縁を吹っ掛け、クロスカウンターで相討ちになります。その後ジョーとの試合で顎を砕かれ引退し、ヤクザの用心棒に身を持ち崩します。
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ある日ウルフがヤクザと喧嘩をしている場面に、ジョーがたまたま出くわします。
ヤクザを叩きのめした後、取り巻きを連れて喫茶店に行ったウルフはこう語ります。
「矢吹という石っころにさえつまづかなければ、今頃俺は世界を狙えていたんだ。」
これをジョーが、奥のテーブルで聞いているんですが、この時のジョーの表情が何ともいえず切ないんですよね。
ウルフに対する哀しみと切ない思いが、滲み出た何ともいえない表情で、黙ってウルフの話を聞くジョー。
その胸中には、どのような思いがあったのか。自分が再起不能にしてしまった相手が、このようなことになってしまった贖罪の気持ちがあったのかもしれせん。
この後ウルフは先ほどのヤクザが連れてきたプロの喧嘩屋ゴロマキ権藤に叩きのめされます。それをジョーが止めるわけですが、権藤はジョーとは戦おうとしません。
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「あんたには勝てねえ。俺は勝てねえゴロは巻かねえ。」
それを聞き、じゃあウルフには勝てると思ったのかと問うジョー。権藤の回答は
「奴は腐った目ををしてやがった。華やかなりし過去を振り返ることしか出来ない奴の腐った目だ。あの目を見てやつには負けないとと踏んだね。」
ウルフを悪し様に罵る権藤に対し、ジョーは激怒し「それ以上ウルフのことを言うんじゃねえ!」
と権藤のボディーにパンチを入れ、内蔵を破裂させます。
このジョーの尋常ならぬ怒りに、ウルフに対する気持ちが見てとれます。
ジョーの中では、前述したようにウルフに対する再起不能にしてしまった負い目もあると思いますが、それ以上に命を削りあった友という思いがあったのでしょう。
その友を侮辱されて、我慢出来なかったジョー。
そこに矢吹丈という男の本質と魅力があると思います。

いつもジョーのことを思うたびに、「泣いた赤鬼」という童話のことを連想します。
人間と仲良くなりたい赤鬼のために、自分が悪者になり黙って赤鬼の元を去る青鬼。
友のためなら、自分を犠牲に出来る義侠心。それと同じ思いをジョーから感じます。
恐らくジョーなら、青鬼のように友のためなら自分のことは考えずに行動するはずです。

多感な少年時代にそんなジョーに憧れ、ジョーのよように生きたいなと思ったものです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。